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マエストロ・ヨエル・レヴィ インタビュー:第529回定期演奏会

  6月21・22日「第529回定期演奏会」にはヨエル・レヴィさんが登場。2012年「ダフニスとクロエ」全曲、2016年「マーラー7番」、いずれも明快な指揮で大曲を見事にまとめ上げたのが印象的でした。今回も大規模なバンダ隊の起用で知られる「ヤナーチェク《シンフォニエッタ》」を演奏します。また、チェコ国民楽派の作曲家として知られるヤナーチェクと組み合わせたのが、モーツァルトの《プラハ》という、チェコという国にスポットを当てたプログラムでもあります。今回のプログラムについて、マエストロに伺いました!
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Q.今回、モーツァルトの「プラハ」とチェコ人の作曲家ヤナーチェクの2作品でプログラムを構成されました。チェコとその音楽についてマエストロの印象をお聞かせください。

 

 実は、つい先日プラハで演奏会を行いました。プラハはとても美しい街で、チェコの国全体には音楽の精神が溢れています。チェコの音楽は民族性が強く、国民感情が込められた旋律が特徴的です。

 今回のテーマは「チェコ」ですが、3曲はそれぞれとても異なる作品です。モーツァルトはチェコをこよなく愛し、またチェコの人々も彼の音楽を愛しました。「プラハ」は、いつもモーツァルトを温かく迎え入れたチェコの人々のために作曲された作品なのです。モーツァルトは「プラハ」の中に訪問者として見たチェコの美しさを表現し、一方、国民楽派の一人として知られるヤナーチェクは、チェコ人の精神性をその音楽の中に表現したと言えます。

 

Q.ヤナーチェクは日本ではあまりよく知られた作曲家ではありません。彼の作品の特徴や興味深い点について教えていただけますか。

 

 ドヴォルザークやスメタナに比べると世界的に見てもヤナーチェクはそれほど有名ではありませんが、彼は間違いなく前者の二人と同様チェコを代表する作曲家です。ヤナーチェクはオペラを多く書きましたが、管弦楽や器楽の作品についてもチェコ語の話し言葉を基にして作曲しました。メロディーラインにチェコ語のイントネーションを反映させている点は大変興味深く、他と一線を画す手法です。

 ちなみに「シンフォニエッタ」は、村上春樹さんの小説「1Q84」に登場しますね。

 

 

 

Q.今回、大阪フィルは初めて「タラス・ブーリバ」を演奏します。どんな作品なのでしょうか。 

 

 ヤナーチェクはロシア文学に大きなインスピレーションを受けていました。そして、彼はロシア文学のストーリーを基に数多くのオペラや室内楽作品を書きました。「タラス・ブーリバ」は、ニコライ・ゴーゴリの小説が基になっています。チェコの東部モラヴィア地方の民族音楽やその土地特有の言葉のイントネーションを多く取り入れるなど、この作品にはヤナーチェクらしい手法が頻繁に使われています。

 この曲はオーケストラのために書かれた狂詩曲ですが、ヤナーチェクはこの作品を書き終えたあと、チェコの軍隊に献呈しています。とてもエキサイティングでエネルギーに溢れた場面が多く登場する作品です。

 

Q.今回が大阪フィルとの3回目の共演となります。これまでは、「ダフニスとクロエ」やマーラーの交響曲第7番といった大編成のプログラムが多かったですね。今回はどういった音楽づくりを期待されていますか?

 

 どんな作品を演奏するときも、もっとも大切なことは、その作曲家が何を表現したいのかということです。音楽に込められた作曲家の意図を汲み取ることは、私にとっての挑戦であり、やりがいのある仕事です。ですから、作曲家が聴き手に伝えたいこと、見せたいことを音楽で表現することに全力を尽くしたいと考えています。今回のコンサートではチェコの音楽をお届けしますので、楽団員の皆さんと一丸となってチェコ音楽の美しさを表現していきたいと思います。私たちの演奏を聴いた聴衆の皆さんに、チェコの風景をご想像して頂けたら嬉しいです。また、大阪フィルとは今回で3回目の共演ですから、音楽面でお互いよく理解し合えています。今回のプログラムは協奏曲を含まないオーケストラだけの曲ばかりですので、共により精密な音楽づくりができればと期待しています。

 

Q.観客のみなさんにメッセージをお願いします。

 

 大阪フィルと共演するときはいつも素晴らしい観客に恵まれています。大阪のお客様の熱心なサポートや音楽に対する情熱は、私に大きなインスピレーションを与えてくれます。観客の皆さんの温かさと心からの歓迎に感謝します。もうすぐお会いできるのを楽しみにしています。

レヴィ 
第495回定期演奏会(c)飯島隆

 

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尾高忠明「大阪文化祭賞」受賞に寄せてのメッセージ

 このたび、尾高忠明&大阪フィルハーモニー交響楽団は「平成30年度 大阪文化祭賞」と受賞いたしました。
 昨年度開催の「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会」の取り組みが評価されてのことですが、こちらは1月に発表された「関西音楽クリティック・クラブ賞」に続いての受賞となります。ベートーヴェンの交響曲はまさに“クラシック”、オーケストラの原点というべき存在で、企画としての華やかさや物珍しさはありませんが、オーケストラにとって欠かせないものです。地道な取り組みが評価されたことを大変嬉しく思いますとともに、4月からはじまる新シーズンもさらに充実した演奏を披露できるよう、一同務めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
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撮影:飯島隆
 

  尾高忠明からのメッセージです:

 僕は子供の頃から大阪が好きだった。そして大阪フィルとは最初の共演以来、ずいぶん長く付き合ってきたが、昨年から「皆と家族になれた!」と大喜びしていたところだ。それがまだ1年も経っていないのに、この様な賞をいただけるなんて!夢の様だ。
これも楽員が素晴らしい演奏を繰り広げてくれ、たくさんの聴衆の皆様が聴きににきてくださって、そして喜んでくださった証だと思う。
 本当に大阪の音楽界は素晴らしい。
 大阪フィルが、この大阪の真の「オアシス」となり、皆様に沢山の素晴らしい音楽をお届けすることに全力を尽くすのが、この賞への恩返しだと思う。
 
今回は選出してくださり、本当にありがとうございました。
       尾高 忠明


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撮影:飯島隆

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マエストロ・パスカル・ロフェ インタビュー:第522回定期演奏会

 18/19シーズン、後半最初の演奏会となる「第522回定期演奏会」(10月25・26日)。指揮はパスカル・ロフェさんです。
 ロフェさんの大阪フィル定期への出演は2009年以来。そのときも「ダフニスとクロエ」全曲 という、フランスの作曲家による声楽を伴う作品でした。今回のプログラムについて、お聴きしました!

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Q1.色々な作曲家が「レクイエム」を手がけていますが、フォーレ作品の特徴、魅力はどういったところでしょうか。

このレクイエムには特別な思いを持っています。おそらくそれは、この作品が無信仰の作曲家によって書かれた唯一のレクイエムで、フォーレ自身が「喜びのためだけに」書いたと言っているからだと思います。死を恐れるのではなく、その先(死後)にある幸福を待ち望む楽観的な慰めとなる作品なのです。

Q2.フォーレはマエストロと同じフランスの作曲家ですが、”フランスらしさ” というものを感じる点はありますか。

単純さ、声楽の語法、ハーモニー、すべてにおいてフランスらしい作品です。ドラマチックでなく、穏やかで深みのある、室内楽作品のようなレクイエムです。フォーレはサン=サーンス以降のフランス音楽の純然たるの継承者。彼はこの作品をパリ17区のマルゼルブ大通り沿いの家で作曲しましたが、私はそのすぐ近くに住んでいるんですよ。
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Q3.二度目の共演となる大フィル合唱団へメッセージをお願いします。

素直に、誠実に、心から語りかけるように歌いましょう。

Q4.「火の鳥」は、今回は原典版での演奏です。現在はコンパクトな1919年版を演奏することが多いですが、原典版ならではの魅力、特にこの曲が好き、というものがあれば教えてください。

この1910年原典版は、セルゲイ・ディアギレフがパリで主宰していた「バレエ・リュス(ロシア・バレエ団)」のために書かれたもので、ロシア民話のストーリー全編を描いています。1919年と1945年のバージョンは、その半分の長さで、オーケストラの編成も随分小さくなっています。ですから私は常々、ロシアの魂、そしてストラヴィンスキーとリムスキー=コルサコフのつながりをお見せするために、この原典版を演奏したいと思っているのです(訳注:ストラヴィンスキーはこの作品をリムスキー=コルサコフに献呈)。この1910年版の「火の鳥」は、ストラヴィンスキーが作曲家として初めて大成功を収めた作品です。

Q5.大阪フィルとは、2009年定期、2012年ラ・フォル・ジュルネびわ湖につづく3度目の共演となります。

大阪フィルと共演するたび、とてもポジティブな印象を持ちました。リハーサル、コンサートでの集中力が極めて高かったことと、「ダフニスとクロエ」で共演した合唱団がとても難しい「ア・カペラ」の部分を素晴らしく歌い上げたことを覚えています。皆さんとまたご一緒できるのをとても楽しみにしています。

O6.最後にお客さまにメッセージをお願いします。
コンサートにぜひお越しください。この素晴らしいプログラムを通して、時代が20世紀に切り替わる頃の好奇心に満ちたパリにタイムトリップしましょう。

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マエストロ・ビニャミーニ インタビュー:第519回定期演奏会

(C)Virinio Levrio

   大阪フィルの第519回定期演奏会は、6月15・16日。指揮者はヤデル・ビニャミーニさん。今月仙台フィルさん、読響さんと共演、ダイナミックさと繊細さを兼ね備えた表現が絶賛されました。秋にはローマ歌劇場とともに来日するなど、注目の人です。

 大阪フィルとは今回初共演ということで、マエストロに今回演奏するプログラムのことなど、お伺いしました!
 
Q.ペルトの作品をはじめて聴くお客さまも多くいらっしゃると思います。今回演奏する「フェスティナ・レンテ」について教えていただけますか?

 
.ペルトの「フェスティナ・レンテ」は5分ほどの短い作品です。

   でも短い曲だからといって誤解しないでいただきたいのは、この作品は5分の間に特別な空気を創り出し、新たな扉を開いてあなたを新しい世界に連れて行ってくれる曲なのです。
   「フェスティナ・レンテ」で演奏会を開始するのは特別なものがあります。聴衆のみなさんが演奏会に向けて心をチューニングすることを助けるとともに、モーツァルトのピアノ協奏曲の前に給仕される素敵な 
aperitivo(前菜)となることでしょう。楽しんでください!


Q.  イタリア出身のマエストロですが、仙台でストラヴィンスキー、読響でグラズノフ&チャイコ、そして大阪フィルとはリムスキー=コルサコフとロシア系の作曲家が続きます。これは偶然なのでしょうか、それともロシアの作品に特にシンパシーを感じていらっしゃったりするのでしょうか?

A.  もちろん、偶然ではありません!私はロシア音楽を心から愛していますし、ロシアの作曲家たちによって書かれた音楽は私の魂にとても近いと感じています。なぜ、ということを言葉で説明するのはとても難しいのですがその色彩、パワー、ダイナミクス、情感、夢見るようなパートとリズミカルなパートの組み合わせ魅力のすべてを語り尽くすことは不可能です!

    ロシア音楽を聴いて何も感じない、という人はいないでしょう。好きだという人もいれば嫌いだという人もいる、それでいいのです!それこそ一度体験する価値のある真の芸術なのです。
    ぜひ6月フェスティバルホールで体験してみて下さい。大阪でお会いしましょう。

   ☆ 第519回定期演奏会・公演詳細はこちら⇒ http://www.osaka-phil.com/schedule/detail.php?d=20180615

 ☆ マエストロ・ビニャミーニついてさらに知りたい方はWebぶらあぼ掲載のインタビューをどうぞ⇒
    http://ebravo.jp/nbs/2018/Roma/archives/430

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4大オーケストラの響演

 先週末「大阪4大オーケストラの響演」に出演いたしました。今年で4回目となるこちらのイベント、オーケストラによる演奏だけでなく金管楽器によるオープニングファンファーレや、アンサンブル演奏(今年は木管八重奏)、マエストロ4人のプレトークから終演後の抽選会まで盛りだくさんの内容。約3時間の長いコンサートですが、来場された方にはたっぷり楽しんでいただけたことと思います。 ※写真は金管アンサンブルのリハーサル風景。


 
 そしてこの日の午前中には事前に申し込んでだ方対象に、大阪フィルのゲネプロ見学と尾高忠明のお話を楽しんでいただきました。
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 『「南国にて」は英国で何度も演奏してきたが、実は英国は音響の良いホールが少ない。今回フェスティバルホールで演奏してみて、とても良い響きがして嬉しかった』 とマエストロの率直な感想。実は尾高×大阪フィルはエルガーの三つの交響曲をすべて演奏しており、そのときのエピソードを交えながら、エルガーの魅力を話すマエストロ。このあと受講生の皆さんは本番もお聴きになりましたが、さらに興味深く聴いていただけたのではないでしょうか。

 次回尾高忠明音楽監督の出演は、「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会 第1回」。大切なシリーズ初回です。ベートーヴェンの九つのシンフォニーオーケストラの原点というべき存在ですが、今回取り上げる1番・2番は、そのベートーヴェンの「原点」というべき作品。この曲を知らずしてオーケストラは語れません。これからクラシック音楽を聴いてみよう、という方にもおススメのシリーズですので、ぜひご家族、お友達を誘ってご来場下さい。 

「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会」の詳細はこちら⇒ http://www.osaka-phil.com/beethoven/
 ※お得な5回セット券もあります!

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