「親子のためのオーケストラ体験教室」は28日と29日の11時と14時の計4公演、大変な盛り上がりの中終了しました!

会場は大阪市西成区にある私たちの練習場「大阪フィルハーモニー会館メインホール」。
チケットは全席自由のために、開演1時間前には多くのお客さまが列を作られていました。

0歳の子供さんから入場可能なこのコンサート、大半のお客さまが子供連れもしくはお孫さん連れです。
ホールの1階には色々なタイプのベビーカーが並んでいます。

普段のコンサートはでは絶対に見られない客席の光景。
ちびっ子でいっぱいです。
可能性のいっぱい詰まった素敵なコンサートではないですか


指揮者は大阪フィルとは相性抜群の円光寺雅彦さん。
円光寺さんの魅力は大フィルを最大限に引き出す指揮だけでなく、絶妙なトークにもあります。
お客様の前に登場したマエストロは客席に向かってお辞儀をし、いきなり指揮をします!
歌劇「ローエングリン」より第3幕への前奏曲が鳴り響きました。

「親子のためのオーケストラ体験教室」はとても人気のコンサートなのです。
チケットは発売後1週間ほどで売切れてしまいます。
そして、リピーターが多いこともこのコンサートの特徴です。
このコンサートの魅力は何か、当日のプログラムの順に沿って紹介していきましょう。
まずは、それぞれの楽器の音を聴いてみよう!ということで楽器紹介です。

まずは弦楽器から!
首席客演コンマス崔 文洙(チェ・ムンス)のため息モノのヴァイオリンソロです。
ところでヴァイオリンとヴィオラの大きさの違いはどれくらい・・・
ということで2台を並べてみると

こんな感じです。
ヴィオラはヴァイオリンよりも5度低く調弦されています。
分数楽器が揃っているヴァイオリン(1/10から7/8まで種類は豊富)の方が小さな頃から始めやすく、将来ヴィオラに転向する人が多いようですよ。

支えたり繋いだり、縁の下の力持ち的なイメージが強いヴィオラ。
先日の“マーラー9番”のヴィオラソロは本当に素晴らしかった

弾いていたのはもちろんトップ奏者小野眞優美。
定期演奏会では、ほぼ毎回お客様をお見送りする彼女の姿がロビーに有ります。

チェロの紹介をするのは近藤浩志。
ヴィオラより音域的に1オクターブ低いのがチェロです。
オーケストラの中にあっても有名なソロも多く、人気も高い楽器ですね


「大きな楽器ほど音が低くなります!」円光寺マエストロが子供たちに説明します。
オーケストラの楽器の中でも最も大きな楽器の一つ、コントラバス。
曲によって、指揮者によって配置される場所が違うのもコントラバス。
あの最低音が何処で鳴り、オーケストラを支えるのか? ライブの楽しみの一つです。
楽器紹介をするのは新真二(あたらし しんじ)。
新については、9月定期のコンサートプログラムの「大フィルの間」で紹介します。

楽器紹介の次に行う‘楽器に触ってみよう!コーナー’で断トツの1番人気はいつもハープ。
ハープの前には今回も長蛇の列が出来ましたよ

華麗に“星に願いを”を奏でるのはもちろん今尾淑代。
これを聴いて子供たちはハープを弾いてみたいと思うのでしょうね。
写真を撮る場合どうしても顔が隠れてしまいます。 ごめんなさい


ここからは木管楽器の紹介に移ります。
「フルートは現在では金属で出来ているものも多いですが、元は木で出来ていたので木管楽器の仲間です」と円光寺さんからの説明のあとフルート演奏が始まりました。
フルートを紹介するのは、今年2月に入団した上野博昭です。

フルートの仲間にも色々とありますが、いちばんポピュラーなのがピッコロです。
ピッコロとフルートの大きさはこれくらい違います。

フルートと比べて1オクターブ高い音を出すピッコロ。
しかし、音色は全くと言っていいほど違います。
ピッコロを吹くのは普段もフルートと持ち替えてピッコロを担当する井上登紀。

オーケストラのチューニングで最初に音を出すことでも知られているオーボエ。
2枚のリードによって音を出すリード楽器で、技術的に難しい楽器とされています。
ダブルリードの楽器は他にはファゴットもそうですね。
演奏するのは浅川和宏とエキストラの渡邊さんです。

オーボエに少し外観が似ていますが、クラリネットは1枚リードの楽器です。
この楽器もバスクラリネットやバセットホルン、ソプラニーノクラリネットなど色々な種類があり、奏者は持ち替えて演奏する事が多いです。
演奏する金井信之は、人を楽しませる事にかけては大変なアイデアマンですね。
楽器紹介を見ているとそんな断片が見えてきます。
それにしても、楽器紹介ってメンバーは真剣に取り組んでいるのがわかります。
「何の曲をどう吹けばその楽器の特徴が伝わるか?」
毎回、曲やメンバー構成を考えたり・・・それだけに聴き応えがあります


木管楽器の中では大きな楽器ですが、ダブルリードの楽器ファゴットです。
もっと大きな楽器でコントラファゴットというのも有ります。
持ち替えて吹くケースもありますよ。
ドイツ式をファゴット、フランス式をバッソンと呼び、操作方法も違うようです。
ファゴットを演奏するのは久住雅人です。

楽器紹介は金管楽器に移ります。
金管楽器には木管楽器で言う リード に代わる マウスピース が有ります。
ホルンは金管の長い管をぐるぐる巻きにした楽器で、伸ばすと4メートル近くになります。
ギネスブックには金管楽器中いちばん難しい楽器がホルンと記されていました。
ホルンを紹介するのは藤原雄一。

4回の楽器紹介の中で曲を変えるメンバーが多かったのですが、毎回同じ曲を演奏したのがトランペットの秋月孝之。
ロスアンジェルスオリンピックのファンファーレ

この曲、スターウォーズの作曲家、J.ウィリアムスの作品なのですね。
格好良い曲を見事に吹いてくれました


管をスライドさせて演奏するという意味で、トランペットやホルンとは違うのがトロンボーンです。
15世紀くらいには有ったようで、宗教曲でも頻繁に使われる楽器です。
演奏するのは磯貝富治男です。

楽器紹介コーナーでいちばん笑いが多かったのがテューバです。
ラジオ体操を自ら吹きながら飛んだり跳ねたり身体を回転させたり・・・

これも超絶技巧というのでしょうか

楽器を吹いているときにはまず顔が見えないので、しっかり見ていただきましょう!
テューバの川浪浩一です。

打楽器の紹介です。
打楽器は本当にたくさんの種類がありますが、代表的なものだけ。
やはり、なんと言ってもこれ。 ティンパニを叩くのは中村拓美です。

タンバリン(タンブリンともいう)は久保田善則。
誰もが叩く楽器ですが、そこはやはりプロ。 おーっ!という声、気持ちいいですね


こちらもお馴染みの楽器、シンバルと大太鼓です。
シンバルを叩くのは堀内吉昌、大太鼓はエキストラの金原俊さんです。

この楽器はグロッケンシュピール、鉄琴のことですね。
エキストラの奥田有紀さんは、他にも ソリの鈴 なども演奏されていました。
打楽器奏者は色々な楽器を持ち替えて演奏する事が普通です。

オーケストラで使われている楽器の音を一通り聴いて頂いた後、気になった楽器に触ってもらうコーナーも大人気です

毎回、1番人気は

は決まってハープ。
もちろん、それ以外の楽器にもかなりの列が出来ます。
子供たちが楽器を弾く姿を、親が一生懸命撮影するというのがお決まりのパターン。
8月5日の「3大交響曲の夕べ」で45年の大フィル生活にピリオドを打つ2ndヴァイオリンの塩田良正も、熱心にちびっ子にヴァイオリンの弾き方を教えていました。

トロンボーンを吹くちびっ子を覗き込むのはお母様でしょうか。
このコーナーで初めて楽器に触れて、楽器を始めたという方もいるそうですよ。
このコーナーはあちらでもこちらでも、我が子の写真撮影大会といった感じですね。

指揮者体験コーナーで実際に指揮をしたい人!という呼びかけにはスゴイ数のちびっ子が手を挙げます。
全員前に出てきて、男子はコンマス崔 文洙(チェ・ムンス)と、女子はヴィオラ川元靖子とジャンケンします。

そして勝ったちびっ子だけがオーケストラを指揮することが出来るのです。
課題曲は、「ラデッキー行進曲」と「運命」1楽章冒頭の2曲。
子供たちが選ぶのは、ほとんど「ラデッキー行進曲」。
確かにジャジャジャジャーン! の「運命」は難しいのです


円光寺マエストロに指揮の仕方を教わって、いざ指揮をします!
しかし、指揮棒をおろす、腕を振り下ろすと言う事がなかなか出来ません

意地悪なほど

忠実に指揮者に反応するオーケストラ。
オーケストラを前に、指揮棒を降ろすって子供にも勇気がいる事なのでしょうね


このままでは誰も「運命」を指揮しないので、「運命」限定で大人の方に向けて指揮者体験の希望を募ったところ、多くの方が「やらせて欲しい!」との申し出

(ハーイ)
円光寺マエストロが笑いながら話されます。
「こんなにたくさんの人がやりたいって前に出てくる所、大阪以外に無いですよ!」


次は、オーケストラに参加してみよう! のコーナー。
シンバルと大太鼓でオーケストラに参加したい人をやはりジャンケンで決め、スタートです。
曲はビゼーの歌劇「カルメン」第1幕前奏曲“闘牛士”よりです。
こちらのほうは、指揮者よりも随分上手くいきました


大阪フィルの皆さんに何か質問はありますか?
ハーイ! ということで「皆さんは何時間ぐらい練習されますか?」という質問に答えるのは2ndヴァイオリンの田中美奈。
彼女の答えに「普通ですね!」と話すマエストロ。
「プロの人ってみんな練習してるんだー」って思って頂けたでしょうか

質問者と答えるメンバーの遣り取り、一部始終が面白かったです


この後、オーケストラと一緒に「アイアイ」を歌い、最後にはオーケストラの演奏をもう一度聴いていただきました。
曲目はエルガーの行進曲「威風堂々」第1番。
ちびっ子達は、気になる楽器にも触り、お友達が指揮をして失敗している姿を見て、随分曲に対するイメージが出来たのかもしれませんね。 我慢強く聴いてくれましたよ


アンコールは毎年おなじみの曲、オッフェンバックの「天国と地獄」です。
この曲に合わせてスタッフも一緒に混じり、子供たちと輪になって踊ります。

コチラでもアチラでも二重三重に輪が出来、回転していく様子を見ていて思いました。
音楽に合わせ身体を動かすことって、特別な行為ではありませんが以外に難しい。
ぐるぐる輪になって踊ることに、特にルールなんて無いのですが、限られたスペースの中で無理に廻ると誰かにぶつかったり、足を踏んだりするので、注意しながら廻るということを自然に覚えるんですね。
音楽によって何かを学ぶ。
素敵じゃないですか


オーケストラの演奏もバッチリ揃っていて、最後の音を弾いたコンマス崔以下のヴァイオリン奏者の弓を持つ格好がみんな同じで、ちょっと笑ってしまうほどでした。

「さようなら、また来年お会いしましょう

」
お客様とオーケストラメンバー、お互いに手を振って別れました。

今年の「親子のためのオーケストラ体験教室」は終りました。
ご来場頂きました皆さまには、この場を借りて御礼申し上げます

普通のコンサートは未就学児の入場は出来ませんが、誰もが入場いただけるコンサートがございますよ。
「大阪クラシック」の無料コンサートです。
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こちらにはどなた様もご入場いただけますので、ぜひ、いらしてください。
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