「ザ・シンフォニー特選コンサートvol.18 小林研一郎 炎のチャイコフスキー」が、20日に超満員のザ・シンフォニーホールで行なわれました
会場内は補助席までいっぱいの上、立ち見のお客さまも多く、正真正銘、超満員のザ・シンフォニーホールでした。

コンサートはゲストコンサートマスター高木和弘さんのチューニングから始まります。

コバケンさんのホームページトップ画面に書かれている文書をご存知ですか?
こんなふうに書かれています。
指揮者は作品と対峙した時、作曲者や作品のさまざまな背景を探求し、
一つ一つの音に秘められた謎を、行間の宇宙を解き明かそうとします。
そして作品と自らの感性がまさに融合しようとする瞬間、
新たなる世界の発見に心の高まりを覚えるのです。
それをタクトで表現しえたとき、音楽が色彩豊かに奏でられ、
仲間たちと至福のひとときを共有することが出来るのです。

ご自身も作曲をされるマエストだからこそ、指揮をするという行為をこうも客観的に語られるのでしょうか。
作曲家の作る作品の魅力を‘謎’‘行間の宇宙’という言葉で表現されるマエストロ。
作品を知り尽くし、それをタクトで表現するスキルをお持ちのマエストロが今回指揮されるのは、お得意のチャイコフスキーです。

解き明かされた行間の宇宙や謎を、形にする上で必要となるオーケストラやソリスト。
彼らがいないと指揮者という仕事は成立しません。
なので、演奏者に対していつも真摯かつ丁寧に向き合われます。
奏者が思い通りの音を奏でるとこのポーズ。

お客さまの人気も高く、演奏機会の多いチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。
今回のソリスト、有希マヌエラ・ヤンケさんの奏でるチャイコフスキーの調べは格別です。
ご自身も2010年よりザールブリュッケン・カイザースラウテルン・ドイツ放送フィルのゲストコンマスに、昨年8月からは、名門ドレスデン・シュターツカペレ初の女性コンサートマスターを務められており、オーケストラの事は良くご存知です。

ヤンケさんが日本音楽財団から貸与されているストラディヴァリウス1736年製「ムンツ」のクリスタルサウンドが、ホールいっぱいに響き渡りました。
鳴り止まない拍手に応える形で演奏されたアンコール曲は、イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番第1楽章

イザイがバッハのパルティータ第3番を意識しグレゴリア聖歌「怒りの日」に支配されたこの曲は、チャイコフスキーとは全く違った雰囲気で、お客さまはすっかっりヤンケさんに魅了されたようでした。

前半のコンチェルトですっかり温まったホールの空気が一気に爆発した感のあるチャイコフスキー交響曲第4番。
第1楽章冒頭のホルンとファゴットによるファンファーレからお客さまの気持ちをコバケンマエストロは鷲掴みです!

1stヴァイオリン16型でしっかり鳴らしたヴァイオリンサウンドは、これぞ大阪フィルという響きです!
自慢のヴァイオリンセクションをバックに、コバケンさんの指揮はますます快調。

チャイコフスキー4番を吹く天下無敵の管楽器のメンバー。
ソロはことごとくバッチリです。

トロンボーン、チューバ、ティンパニーも迫力満点!

低弦がしっかり支えると、管楽器も上に乗っかりやすいというもの。
ヴィオラ、チェロ、コントラバスの第3楽章ピツチカートをバックに指揮するマエストロ。

「思いを音楽に乗せて、客席に届けるのです!」

「そう、その音です! ありがとう存じます!」

「後ろの方からももっと大きな音を頂きたいのです!」

「そのようにして頂けますと嬉しゅうございます!」

「感謝申し上げます!」

炎のコバケン

と言われ、熱い演奏を信条とされているマエストロ。
この熱い演奏、これは偶然ではなく必然なのです。
熱い演奏になるようにそして客席が盛り上がるように、演奏する作品を読みこみ、すべてを知り尽くされているマエストロがいたるところに仕掛けを張り巡らされているからなのです。
表現が十分では有りませんね。
仕掛けというのは、「ここで全員、一呼吸おいて次の小節に入る」、「次のピアノを強調するため、その前の音を少し強めに弾いて(吹いて)みる」などといった事ですが、これはメンバー全員が「よし、やってみよう!」と思って初めて成立する事です。
という事は、コバケンマエストロが凄いのは、音楽的な事はもちろんですが、人間的に素晴らしくメンバー全員がマエストロが言うならやってみよう!と思わせるところなのだと私は思うのです。
チャイコフスキー交響曲4番は、第4楽章のラスト、どんどんテンポアップして終わりました。
場内、割れんばかりの拍手喝采、ブラヴォーの嵐。
カーテンコールではセクションごとに全員を立たせて祝福するマエストロ。
どんどんオーケストラの中を分け入り、お目当ての奏者と握手を交わします。
そして、もうほとんどのメンバーと握手を交わす、そんな勢いでした。
何回目かのカーテンコールでお客様を制し、マエストロが話し始めます。
「皆さまのご声援が、凄いパワーとなって私と大阪フィルの後押しをしてくれました。 先日海外の著名なオケとただ今のチャイコフスキー4番を録音したのですが、大阪フィルはそれに比べても勝るとも劣りませんでした。 皆さまのご声援に感謝申し上げます。 本日のアンコールは、先日「ららら
クラシック」でも演奏しましたハンガリー舞曲5番を演奏いたします。」そしてテレビでマエストロが演奏されたハンガリー舞曲5番が演奏され、この日のコンサートは終了となりました。
一言で言って、凄すぎるコンサートでした。
若い人の言葉を借りるなら ヤバイ でしょうか。
そうと判っていても興奮する!、そうなることを知っていても感動する!
そんなコンサートでした。
これからは、コバケンマエストロが指揮するコンサートは絶対外せないと思いますよ!

前半が終わった後、楽屋前でお二人を待ち伏せしました。
「いやー素晴らしかったです! またご一緒したいですねえ。」とマエストロ。
「ありがとうございました。こちらこそぜひ!」と有希マヌエラ・ヤンケさん。
2ショットをお願いすると、マエストロはヤンケさんの肩を抱き寄せ満面の笑顔。
お二人さま、はーいスマイル

コバケンマエストロとご一緒するコンサート、今年は2つ用意されています。
一つは先日もお知らせした新生フェスティバルホールに会場を移して行う
「3大シンフォニーの夕べ」。
そしてもう一つのコンサートも恒例になっております、
「オービック・スペシャル・コンサート」です。
こちらはベートーヴェンの交響曲第7番をメインに据え、「コバケンの炎の7番」。
マエストロのご愛娘 小林亜矢乃さんがピアノソロでチャイコフスキーの協奏曲、他です。
チケットは今月19日に発売開始したばかり。
良い席はお早めにお買い求めください。 必ず売り切れますので!
これからも大阪フィルをよろしくお願い申し上げます

(広報:H.I)
オービック・スペシャル・コンサート2013
コバケンの『炎の7番』
日 時:6月12日(水)19時00分
会 場:ザ・シンフォニーホール
指 揮:小林研一郎
独 奏:小林亜矢乃(ピアノ)
<プログラム>
ロッシーニ/歌劇「セヴィリアの理髪師」序曲
チャイコフスキー/ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23
ベートーヴェン/交響曲 第7番 イ長調 作品92
チケット発売日:2013年3月19日より絶賛発売中!
料 金:A席5,000円 B席3,000円 C席1,500円
※未就学のお子様のご入場はお断りさせていただきます。
ご予約・お問い合わせ:
大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890
その他チケット販売所:
ABCチケットセンター(ザ・シンフォニーホール内) 06-6453-6000
電子チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:194-770)