台風の影響で生憎の雨となりましたが、足元の悪い中会場にお越し頂きましたお客さまにはこの場を借りて御礼申し上げます。

大阪フィルの首席客演コンサートマスター崔 文洙(チェ・ムンス)がソリストを務め、3度目の顔合わせとなる偉大なるピアニストにして指揮者のレオン・フライシャーさんとの共演は、またいつもと違った意味で心待ちにしていた定期演奏会でした。
カメラマン飯島隆さんの本番写真を見ていただきながら、2日目をリポートしてまいります!

(C)飯島隆
自ら「特別な曲」だと語るベートーヴェンの協奏曲を、崔のソロで聴ける!
事務局もこの日を本当に楽しみにしていました。
そして、コンマス3人が同じステージに揃い踏み・・・。
夢のようなベートーヴェンが始まりました。

(C)飯島隆
マエストロは自らもピアニストとしてオーケストラと数多く合わせて来られたので、ソリストの気持ちが良く判られるのでしょうね。
崔が弾きやすいテンポや、ここはアピールしたい!という箇所も、完全に理解されているようです。
結果、少しゆっくり目のテンポになりましたが、音楽は淀みなく流れて行きます。
聴こえるか聴こえないかギリギリの所まで音を抑えピアニシシモで聴かせるメロディなどは、コンマスならではではないでしょうか。
しかし、それがとても効果的! お客さまは息を呑んで耳に全神経を集中しているのがわかりました。

(C)飯島隆
そして一転、フォルテで聴かせるメロディは迫力じゅうぶん!
ダイナミックレンジの幅がとても大きく、スケールの大きな堂々たるベートーヴェンでした。

(C)飯島隆
最後の音を弾き終った瞬間がこちら。
マエストロも崔も、フィニッシュの姿勢が決まっています。

(C)飯島隆
崔はリスペクトするマエストロのもとに歩み寄り、握手を交わします。

(C)飯島隆
そして、コンサートマスター田野倉雅秋とも握手をし、

(C)飯島隆
この日はトップサイドに入った渡辺美穂とも握手を交わしました。
オーケストラのメンバーも崔 文洙の弾くベートーヴェンを盛り上げようと、気合い十分。
その気持ちをひとつにまとめたコンマス田野倉雅秋と、サポートに徹した渡辺美穂も見事でした!

(C)飯島隆
マエストロと手に手を取って、カーテンコールに臨む崔 文洙。
鳴り止まぬ拍手に対し、客席、クワイア席、上手、下手のバルコニーと、四方に丁寧にお辞儀をする崔の姿を見ていて、崔の奏でるヴァイオリンのピュアなサウンドは、彼の人間性そのものだと気付きました。
定期2日目には鳴り止まぬ拍手に応える形でアンコールを演奏。
曲は、バッハの無伴奏ソナタ第1番より。
1音1音丁寧に奏でるバッハは、祈りの音楽のようでした。

楽屋の前で、リスペクトするマエストロと2ショットを撮影。

続いて、とても貴重なコンマス3人の写真を撮影しました!
それぞれに大阪フィルを牽引する重責を担っている3名のコンサートマスター。
皆さま、3名のコンマスをこれからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

定期演奏会の会場でお配りしているプログラムの人気コーナー「大フィルの間」。
毎月メンバー2名を取り上げて、音楽家をめざしたきっかけや、初舞台の思い出などを紹介させて頂いていますが、6月定期ではこの二人を取り上げました。
この日、2ndヴァイオリンの3プルトインで弾いていた高木美恵子(写真中央)と、

ヴィオラの3プルトアウトで弾いていた川元靖子(のぶこ・写真中央)です。
これからも二人へ温かい声援をよろしくお願いします。

(C)飯島隆
後半は、ラヴェルの組曲「クープランの墓」と、没後50年を迎えるウォルトンの「管弦楽のためのパルティータ」という20分弱の曲を2曲演奏致しました。

(C)飯島隆
このうちウォルトンの「管弦楽のためのパルティータ」は、大阪フィルで演奏するのは初めてという珍しい曲。
2年前、ベートーヴェンの交響曲第7番をメインで振っていただいた定期があまりに素晴らしかったので、ぜひまた共演を!とお願いした際、「次回はこの曲をやろう。大阪フィルには合っていると思うよ」という事でプログラムに取り上げることが決まった曲です。

(C)飯島隆
色々なアプローチで、作品の本質に迫っていくマエストロ。
今回は練習・本番を通してあまり馴染みのなかったウォルトン「パルティータ」を題材に、音楽の素晴らしさ、音楽家の偉大さを私たちに教えて下さいました。

(C)飯島隆
知らない曲を知る喜び。
それが素敵な曲との新たな出会いだとしたら、これほど幸せなことはありません。
ウォルトン「パルティータ」の魅力はお客さまにきっと伝わったはず。
マエストロ、きっかけを与えて頂きましてありがとうございました。

(C)飯島隆
すべてのプログラムが終了し、コンマス田野倉雅秋と握手を交わすマエストロ。

(C)飯島隆
盛大な拍手を贈ってくださる客席をじっと見つめ、何度もお辞儀をされるマエストロ。

(C)飯島隆
譜面台の向こうからスコアを掴んで、カーテンコールに応えられるマエストロ。
スコアを頭上に掲げることはありませんでしたが、作曲家ウォルトンに祝福を!と仰っているように私には感じました。

(C)飯島隆
これにて「第469回定期演奏会」はすべて終了致しました。
マエストロ・レオン・フライシャーの作り出す音楽は特別なものです。
大阪フィルから色々な可能性を引き出して頂けるマエストロとの音楽作りは、とても有意義な作業です。
またご一緒させて頂きたい!そう感じた定期演奏会でした。
さて、来月は早いものでもう7月です。
7月には皆さまお待ちかね、あのお方が戻っていらっしゃいます!
そうです、桂冠指揮者の大植英次マエストロです。
まず14日には南海高石で「南海コンサート」、そして17日には神戸で小曽根真さんをソリストに迎え「神戸特別演奏会」を開催します。
そして、23日、24日の「第470回定期」では、ソリスト8名を迎えラヴェル「子供と魔法」、ブラームス(シェーンベルク編曲)ピアノ四重奏(管弦楽版)第1番というダブルメインプログラムです!
「真夏の大植祭り」が開幕しますが、まずはチケットをお手元にお持ちくださいませ。
何しろ「南海コンサート」は完売間近です!
詳細はホームページをご覧下さい。
賑やかな夏ももう目の前です。
暑い夏も、大阪フィルをよろしくお願い申し上げます。
(広報:H.I)
「第470回定期演奏会」
日 時:7月23日(火)、24日(水)19時開演(18時開場)
会 場:ザ・シンフォニーホール
指 揮:大植英次
独 唱:
ステラ・ドゥフェクシス(子供)
インゲボルグ・ダンツ(ママ、中国の茶碗、トンボ)
天羽明惠(羊飼いの少女、お姫様、コウモリ、フクロウ)
レイチェル・ギルモア(火、うぐいす)
アネリー・ゾフィ・ミューラー(安楽椅子、雌猫、リス、羊飼いの少年)
セバスティアン・ノアーク(大時計、雄猫)
ドミニク・ヴォルティッヒ(ティーポット、小さな老人、雨蛙)
ルドルフ・ローゼン(ソファー、木)
合唱:ザ・カレッジオペラハウス合唱団
大阪すみよし少年少女合唱団
曲 目:
ブラームス(シェーンベルク編曲)/ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調作品25
ラヴェル/歌劇「子供と魔法」(演奏会形式)
料 金:A席:7000円 B席:6000円 C席:5000円 S席、D席は完売
※未就学のお子様のご入場はお断りさせていただきます。
・チケット販売所
大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890
ABCチケットセンター(ザ・シンフォニーホール内) 06-6453-6000
チケットぴあ 0570-02-9999
・お問合せ
大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890