「第470回定期」練習2日目です。
この日から、ラヴェル歌劇「子どもと魔法」のソリスト8名と、合唱団、児童合唱団が練習に合流。
大植英次指揮、演奏会形式でお届けする「子どもと魔法」の全容が見えてきました。

まず、8名のソリストの実力が判りました。
予想はしていましたが皆さま実力派揃い。凄いです!
唯一の日本人、天羽明恵さんは、今さら語るまでもなく日本を代表するソプラノ。
7名の方は、大植マエストロが海外からこの為に呼んだだけの事はあります。

子ども役のメゾ・ソプラノのステラ・ドゥフェクシス。
チラシやプログラムの写真とは少しイメージが違うのは、髪を切られたからでしょうか。
アバド、ハイティンク、ラトル、メータといった指揮者と共演し、ザルツブルク、ルツェルンなどの音楽祭や主要ホールに引っ張りだこだそうです。

先ほどの写真は少し暗かったですね。
歌はもちろん、アッカンベーをするなど、いたずらっ子の子どもになりきっておられました。

子ども以外は一人で何役もするのがこの「子どもと魔法」です。
世界的なコントラルト、インゲボルグ・ダンツも例外ではありません。
ママ、中国の茶碗、トンボの役で、落ち着いた美声を聴かせてくださいます。
アーノンクール、ブロムシュテット、シャイー、ビシュコフなどと共演し、ウィーンフィル、ベルリンフィルなどにソリストで呼ばれ、ミラノスカラ座、ザルツブルク音楽祭、ルツェルン音楽祭などにも招かれておられます。
この顔、見たことあるといわれる方も多いのではないでしょうか。

日本代表、天羽明恵さん。
大阪フィルとは何度か共演していますが、2008年のアレクサンダー・リープライヒが定期初登場したマーラー4番のソリストとして、素晴らしい歌声を聴かせてくださいましたね。
コロラトゥーラとリリックな声を併せ持たれた日本を代表するソプラノです。
この日の練習での歌声も、指揮していたマエストロが「ブラヴォー!」と叫んだほど素晴らしかったです。
羊飼いの少女、お姫様、コウモリ、フクロウの役をされます。

現在大活躍のコロラトゥーラソプラノ、レイチェル・ギルモア。
09年、「ホフマン物語」でメトロポリタン歌劇場デビュー後、バイエルン国立歌劇場、ミラノスカラ座にデビューを飾った。
今回は、火、うぐいすの役で、綺麗なコロラトゥーラを聴かせてくださいます。
鮮やかなブルーの吹くが印象に残りますね。 本番衣装も楽しみです!

メゾ・ソプラノのアネリー・ゾフィ・ミューラーは、安楽椅子、雌猫、リス、羊飼いの少年の役を歌われます。
雌猫の鳴き声、かなりリアルです(笑)。
ベルリン・コミッシェ・オーパーのソリストとして活躍する傍ら、シュトッツガルト州立歌劇場にも出演。
リリング、ヴェデルニコフリープライヒと共演を重ねておられます。

バリトンのセバスティアン・ノアークは、大時計、雄猫を歌われます。
彼のプロフィールにも大物指揮者の名前が出て来ますね。
エッシェンバッハ、リリング、ビシュkフ、コルボ・・・。
バッハなどの宗教曲を得意としながらも、ベルリン国立歌劇場やワイマール州立歌劇場にも定期的に招かれているそうです。
大時計の歌、哀しすぎますね。

テノールのドミニク・ヴォルティッヒは、ティーポット、小さな老人、雨蛙の役を歌われます。
声質的にはリリックからドラマチックまで幅広くこなす彼。ハーゲン市立歌劇場やヴッパタール歌劇場の専属歌手を務め、ザクセン州立歌劇場やミラノ・スカラ座にも定期的にも招かれいるそうです。
今回唯一のテノールで、その圧倒的な声に期待が集りそうです。

歌手紹介だけでもかなり疲れてきました(笑)。
何しろ8名のソリストです。
皆さん体がおおきいので、本番衣装で並ばれると、壮観だと思います。
最後の一人は、ルドルフ・ローゼン、バリトンです。
ソファーや木の役で登場されます。シュトゥッツガルト州立歌劇場の専属歌手から、現在はフリーランスとしてシャンゼリゼ劇場、ミラノ・スカラ座、リヨン歌劇場、日本の新国立劇場などに定期的に登場しておられるとか。
スイスを代表するバリトン歌手が、どんな歌を聴かせてくださるのか楽しみですね。

このオペラに登場するのは8名のソリストだけではありません。
混声合唱と児童合唱も登場します。
真ん中に児童合唱団を挟み、上手側に男声、下手に女声が並びます。

混声合唱を歌うのはザ・カレッジ・オペラハウス合唱団の皆さまです。
上手に並ぶ男声の皆さまです。

下手に並ぶ女声の皆さまです。
男声、女声ともにおよそ20名づつのメンバー構成となっています。
歌詞はもちろんフランス語。
さすがはカレッジ・オペラハウス合唱団。
少人数でも声量があります。 プロですね!

真ん中にはさまれている児童合唱を歌うのは、大阪すみよし少年少女合唱団です。
難しい合唱を元気いっぱいに歌ってくれました。

先月行った「林光さんの音楽をオーケストラで聴く会」でもご一緒しましたね。
その時はオペラ「森は生きている」から“十二月の歌”を元気いっぱい歌って頂きました。
実は、彼らとは今シーズンの定期演奏会でもう一度ご一緒するのです。
それは、「第473回定期」で下野竜也指揮のブリテン/「戦争レクイエム」です。
大きな曲これだけ共演するのも珍しい事ですね。
大阪フィルと大阪すみよし少年少女合唱団の共演にご注目ください!

ここまで、大植マエストロの姿をほとんど見て頂いてませんね。
この日もマエストロはすこぶる元気なご様子。

マエストロはところどころ、ソリストのパートを歌いながら指揮をされていました。

オペラ最初の子どもとママの宿題をめぐるやり取りのシーンですね。
上手より、ステラ・ドゥフェクシス(子供)とインゲボルグ・ダンツ(ママ)です。

この日がこの出演者で初めてのオーケストラ合わせ。
ソリストの皆さまは、真剣モードです。

ソリストは一人が何役もこなすので、色々な組み合わせのデュエットをお聴き頂けます。
こちらは、ソファー役のルドルフ・ローゼン(左)と安楽椅子役のアネリー・ゾフィ・ミューラーのダンスシーンですね。
会場内にはちゃんと字幕が出ますので、何の役が何を言っているのか、すべてお分かり頂けますのでどうぞご安心を。

コチラは「子どもと魔法」の中で登場する楽器です。
一見するとヤマハのアップライトピアノのように見えますね。
スコアには曲の中でチェンバロのような音のする楽器が指定されています。
アップライトピアノのハンマーの間に紙を挟んで叩いて音を出すといったものですが、そんな楽器は見つかりません。
ということで、ヤマハの調律師さんに作って頂いたのがコチラです。
鍵盤をたたくと・・・いやいや普通のピアノですよ。
ペダルを踏み込むと、なるほど!チェンバロのような微妙な金属音も入った音に切り替わります。
企業秘密のため(笑)あまりお見せ出来ませんが、いやー凄いですね。
コチラの楽器の音色、本番では結構目立ちますのでどうぞお楽しみに。

本日の「子どもと魔法」の練習は終了しました。
もちろん明日もこの続きをやります。
休憩時間にマエストロとステージマネージャー清水直行が打ち合わせをしています。

こんなシーンも発見です。
ヴィオラの小野眞優美と近藤浩志とマエストロが談笑していました。
なんとも楽しそうな雰囲気ですね。

ブラームス/シェーンベルク「ピアノ四重奏曲第1番」(管弦楽版)の練習が始まります。
まずはコンマス崔文洙のチューニングです。

曲が変わるとマエストロの衣裳も代わります。
そして、気付かれてますか、眼鏡も代わっています。
オシャレなマエストロ、見ていても気分が変わっていいですね。
マエストロが叫びます。「4楽章からお願いします!」

ブラームスのピアノ四重奏曲第1番をシェーンベルクが管弦楽版に編曲したこの曲、管楽器3管編成で出来ています。
フルート3、(3番ピッコロ持ち替え)、オーボエ3(3番イングリッシュホルン持ち替え)、E♭管クラリネット、クラリネット2(2番バスクラリネット持ち替え)、ファゴット3(3番コントラファゴット持ち替え)、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、チューバ1、打楽器6(ティンパニ、バスドラム、シンバル、グロッケンシュピール、スネアドラム、タンバリン、トライアングル、シロフォン)、弦五部
この曲は、ブラームスの作ったオリジナルとは別の曲と言って良いでしょうね。
オーケストラの魅力を味わえる曲、良い曲ですね!

4楽章エンディングの打楽器は迫力十分。
弦楽器の響きを切り裂くようにシロフォンが鳴り響きます!

マエストロのこのポーズでエンディング。
いやー、何回聴いても格好いい曲ですね!
ラヴェルの歌劇「子どもと魔法」とブラームス/シェーンベルク「ピアノ四重奏曲第1番」(管弦楽版)の重量級プログラムで臨む、桂冠指揮者大植英次率いる大阪フィルの「第470回定期」。
いよいよ今週火曜日、水曜日と迫ってまいりました。
どうぞ会場のザ・シンフォニーホールにお越しください。
聴き応え、見応え十分、きっと楽しんで頂けるはずです!
お待ちしています!
(広報:H.I)

「第470回定期演奏会」
日 時:7月23日(火)、24日(水)19時開演(18時開場)
会 場:ザ・シンフォニーホール
指 揮:大植英次
独 唱:
ステラ・ドゥフェクシス(子供)
インゲボルグ・ダンツ(ママ、中国の茶碗、トンボ)
天羽明惠(羊飼いの少女、お姫様、コウモリ、フクロウ)
レイチェル・ギルモア(火、うぐいす)
アネリー・ゾフィ・ミューラー(安楽椅子、雌猫、リス、羊飼いの少年)
セバスティアン・ノアーク(大時計、雄猫)
ドミニク・ヴォルティッヒ(ティーポット、小さな老人、雨蛙)
ルドルフ・ローゼン(ソファー、木)
合 唱:ザ・カレッジオペラハウス合唱団
大阪すみよし少年少女合唱団
曲 目:
ブラームス(シェーンベルク編曲)/ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調作品25
ラヴェル/歌劇「子供と魔法」(演奏会形式)
料 金:A7000円、B6000円 CとDとSは完売です
※未就学のお子様のご入場はお断りさせていただきます。
※プレトーク・サロンを18時半より2階ホワイエで行います。お立ち寄りください。
※学生・シニア当日券を1000円で販売致します。 25歳以下の学生と、60歳以上のお客様は開演30分前の時点で当日券がある場合、お1人様1000円で入場頂けます。 ご入場の際、学生の方は学生証を、60歳以上の方は年齢を証明出来るものをご提示いただきます。 なお、座席はお選び頂けませんのであらかじめご了承願います。
お問合せ
大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890