「第473回定期演奏会」で取り上げたブリテンの大曲「戦争レクイエム」はザ・シンフォニーホールで2日間、下野竜也さんの指揮の下、鳴り響きました!

(C)飯島隆
カメラマン飯島隆さんの撮影した本番写真を見ながら、「戦争レクイエム」のライブの模様をリポートいたしましょう。
この公演、パイプオルガン横の上手と下手の壁に字幕が出ました。
パイプオルガン寄りの席のお客さまのために、上手下手の花道にも字幕が出ました。
ブリテンが曲に織り込んだイギリスの詩人ウィルフレッド・オーウェンの反戦詩を、しっかり皆さまにお伝えする必要があると考え、字幕を導入しました。

(C)飯島隆
コンサートマスターは渡辺美穂。
田野倉雅秋が室内オーケストラにまわったことで、両コンマスが指揮者を挟んで向かい合って演奏するといった珍しい現象が起こりました。

(C)飯島隆
指揮は下野竜也マエストロ。
今回が「戦争レクイエム」を指揮するのが初めてだということでしたが、
勉強量十分、しっかりスコアも頭の中に入っていて的確な指示で、オーケストラから豊潤な響きを引き出して頂きました。

(C)飯島隆
2階席から演奏中のステージを見るとこんな感じです。
「戦争レクイエム」には、大小二つのオーケストラと、オルガン、合唱団、児童合唱団、3人の独唱者が必要となります。

(C)飯島隆
もう少し寄ってみると、ステージ上には上手下手それぞれにティンパニをはじめとする打楽器が配置され、ピアノも見えますね。
合唱団はステージ最後方に2列並び、残りはクワイア席に配置されています。
所狭しと並べられた楽器たち。
上手の客席寄りをアップしてみると・・・

(C)飯島隆
室内オーケストラが並んでいます。
最前列に1stヴァイオリン田野倉雅秋と2ndヴァイオリン田中美奈が並び、少し離れてヴィオラの小野眞優実が並びます。
その後ろにはチェロ近藤浩志、オーボエ浅川和宏、フルート野津臣貴博、。
そして、コントラバス新眞二、ファゴット エキストラ廣畑敦子さん、クラリネット ブルックス・トーン。
その後ろにはハープ今尾淑代、ホルン エキストラ高橋将純さん。
最後方には打楽器 エキストラ中山直音さん、ティンパニ堀内吉昌。
少人数で戦争の生々しい音を見事に奏でました。

(C)飯島隆
取りにくい音との格闘の毎日だったと思います。
140名近くの合唱団ですが、コレだけの人数で想像を超えるフォルテから、ギリギリ限界のピアノまで、広いダイナミックレンジを使った迫力十分の混声合唱。
第6曲「リベラ・メ」最後のアカペラの「アーメン!」は、鳥肌もの。
いやー、ブラヴォー!でした。

(C)飯島隆
コンマス渡辺美穂と田野倉雅秋が向かい合ってヴァイオリンを弾いています。
男声ソリストは指揮者を挟んで下手側にテノールの小原啓楼さん、上手側にバリトンの久保和範さんが座られています。

(C)飯島隆
第1曲「レクイエム エテルナム」で、突然オーウェンの戦争を告発する英語詩を歌うテノール小原啓楼さん。
通常のレクイエムでは絶対ありえない驚きの展開です。
とても力強い小原さんの声。
そして、やはり第6曲「リベラ・メ」の中のバリトンの突然の告白に驚かれるシーン、印象的でした。

(C)飯島隆
「僕は君に殺された敵なのだ、友よ・・・。」
久保さんの歌う死者の歌、迫力十分です。
久保さんはバリトンでもバスに近い声域だと思われますが、力強いです。
そして「もう眠ろうよ!」と呼びかけられます。

(C)飯島隆
ソリストの中で一人高い位置から歌われるソプラノ木下美穂子さん。
パイプオルガンの下手側に座っていらっしゃいます。
合唱団と一緒にギリシア語の典礼文を歌われます。
現実の戦地で戦っている男声ソリストを包み込むように教会の響きが降り注ぐ。
この配置にはマエストロのそんな意図があったのでしょうか。
透明感があり、力強さも備わった木下美穂子さんのソプラノ。
ソリスト3名はマエストロのセレクション。
さすが皆さま実力者です。本当に素晴らしかったです。

(C)飯島隆
この曲でとても大きな存在感を示すのが鐘の響きです。
パイプオルガンの上手側で強く、時には優しく鳴り響いていました。

(C)飯島隆
「マチネ・シンフォニー」のブログでも紹介しましたが、今月入団が決まったメンバーを改めて紹介させてください。
2ndヴァイオリントップ奏者として入団が決まった宮田英恵。
同じくトップの田中美奈と二人で2ndヴァイオリンを牽引して行きます。

(C)飯島隆
同じく11月付けで入団が決まったオーボエの大島弥州夫。
「戦争レクイエム」では終始イングリッシュホルンを吹き続けておりました。
皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。

今回の定期のプログラム、「大フィルの間」では彼ら二人を取り上げています。
定期演奏会でしか配布されないプログラム。
アナログな紙媒体で、限られた場所でしか配布されないプログラムだからこそ、
二人の音楽的なことから、プライベートに関することまで面白可笑しく書くことが出来るのです。
定期演奏会にご来場の上、ぜひお手に取ってご覧ください。

(C)飯島隆
今回の演奏会で取り上げた「戦争レクイエム」。
ザ・シンフォニーホール30年の歴史でも演奏されたことが有りません。
大阪フィルが演奏するのは3度目で、過去2回はともにフェスティバルホールです。
大人数かつ豪華な出演者でお届けした「第473回定期」ですが・・・

(C)飯島隆
成功の秘訣、勝因(言い切って良いですよね (笑) )は、下野マエストロに尽きます。

(C)飯島隆
コンマス渡辺をはじめ、ソリストの皆さまも口を揃えて「下野さん、凄い!」。
マエストロと一緒に音楽作りが出来て幸せです。

(C)飯島隆
両日共に第6曲「リベラ・メ」のアカペラ合唱を終えた後の沈黙、無音状態は祈りの時間のように、見事なまでに静かでした。
ブログでも呼びかけたり、当日のプログラムにマナーについての注意事項を挟み込んだりもしましたが、この曲をちゃんと聴かれている方なら誰も拍手やブラヴォーなんか出来ないはずですね。
お客さま自らの思いで沈黙を迎えることが出来て、感激いたしました。
マエストロが動き始めたのを合図に、温かな拍手はやがて拍手喝采へと変わっていきます。
そして、マエストロとコンマス渡辺美穂が握手を交わしました。

(C)飯島隆
ソプラノ木下美穂子さんもステージに降りて来られ、カーテンコールが始まりました。
お客さまの拍手、そして笑顔が出演者には最高の贈り物です。

(C)飯島隆
皆さま、ありがとうございました。 という事で終わる訳にはまいりません。
いちばん大切な出演者を忘れていますね。
というか、カタチが無かったので紹介出来なかった訳でして・・・
決して忘れていた訳ではございませんが・・・

(C)飯島隆
大阪すみよし少年少女合唱団、総勢45名の皆さまです。
「天上から降り注ぐように」との指示を受けて、彼らは3階バルコニー席の外から、ドアを開けて歌っていたのです。
そして歌い終わるとドアを閉めて、また出番になるとドアを開けて・・・。
副指揮者の小林恵子がモニター画面で下野マエストロの指揮を見ながら、彼らを指揮していました。
彼ら、天使の声で安らぎがもたらされ、救済が施されたのです。
救われたのは、彼らのおかげ! コンサートが成功したのは彼らのおかげ!(笑)
最後に3階バルコニー席に皆さんが姿を見せられると、
お客さまからも、出演者からも大きな拍手が贈られました。

(C)飯島隆
そして、これで本当に「戦争レクイエム」の終了です!
ザ・シンフォニーホールの歴史に刻まれる感動の演奏会が終了しました。
この感動は皆さまの記憶にも刻まれることでしょう。

昨日の記念写真とは別バージョンをご覧頂きながら、お別れを申し上げます。
コンマス渡辺美穂とマエストロ、そしてソリストの皆さまです。
弾ける笑顔がコンサートの成功を物語っていますね。
寒い中、ご来場いただいた皆さまにはこの場を借りて御礼申し上げます。
行けなかったけど、ブログやツイッターを見て応援していたよ!と言ってくださる皆さまにも感謝申し上げます。
大阪フィルはこれからも頑張ります。
どうぞ引き続き応援のほどよろしくお願い申し上げます。
ここからは今後の宣伝となります。
ここ2回、定期では「トゥランガリラ交響曲」、「戦争レクイエム」と大きな曲が続きましたが、来月は若き天才ウルバンスキを迎えて、初演から100年を迎えるストラヴィンスキー「春の祭典」を演奏致します。
しかし、その前に下野マエストロとご一緒する年に一度のコンサートがございます。
それは、
「スペシャル・ライブ」~吹奏楽 meets オーケストラ~。
(昨年のスペシャルライブの様子)

(C)飯島隆
大阪フィルがブラスキッズをはじめとする吹奏楽ファンにお届けする、大阪フィルならではのコンサートです。
どんなコンサートかと言いますと・・・
・吹奏楽で人気の曲を、この日のために管弦楽版に編曲して、オーケストラで演奏します!
・吹奏楽で人気の曲だけど、実はオリジナルはオーケストラの曲!というのを、演奏します。
・毎回吹奏楽で活躍する楽器のスペシャリストを呼んで、超絶技巧による演奏を間近で聴き、どうしたらそんなに上手くなれるのかを語ってもらいます。
・管弦楽では味わえない、弦楽合奏の曲を聴いてもらいます。
・そして、このコンサートの司会進行は、吹奏楽のカリスマ教師、淀川工科高等学校吹奏楽部顧問の丸谷明夫先生がやってくださります。丸谷先生と、やはり吹奏楽に関しては自身も経験者、下野マエストロが毎回の選曲やゲストアーチスト選出をされるので、吹奏楽部の生徒さんたちが今いちばん聴きたい曲が聴ける訳です。
今年の「スペシャル・ライブ」の聴き所はまた改めてご説明いたしましょう。
ちなみに、昨年の「スペシャル・ライブ」の様子はコチラをご覧ください。
一昨年の「スペシャル・ライブ」の様子はコチラ。ただ、チケットは残り少なくなってきています。
行こうかどうしようか悩まれている方は、お急ぎ下さい。
吹奏楽ファンのかたはもちろん、オーケストラファンの方も楽しめるコンサートです。
最後にもう一度繰り返しますが、安易に大阪フィルブラスセクションだけで演奏するのではなく、オーケストラで吹奏楽の曲を演奏するのが面白く楽しい企画なのです。
ぜひお越し下さい。ザ・シンフォニーホールでお待ちしています!
(広報:H.I)
〈スペシャルライブ〉 吹奏楽 meets オーケストラ
日 時:2013年11月29日(金)19時開演(18時開場)
会 場:ザ・シンフォニーホール
指 揮:下野竜也
独 奏:瀬尾和紀(フルート)
司 会:丸谷明夫(大阪府立淀川工科高等学校吹奏楽部顧問)
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
曲 目:保科 洋/風紋(管弦楽版)
ワーグナー/歌劇「ローエングリン」第2幕より“エルザの大聖堂への行列”
A.リード(長生 淳編曲)/オセロ-シェイクスピアに基づく5つの
場面による交響的描写(管弦楽版)
イベール/フルート協奏曲
J.S.バッハ(ストコフスキー編曲)/アリア
R.シュトラウス/楽劇「サロメ」より“7つのベールの踊り”
料 金:A席5,000円、B席3,000円、C席1,500円
※未就学児のご入場はお断りさせていただきます。
ご予約・お問合せ:大阪フィル・チケットセンター06-6656-4890
その他チケット販売所
ABCチケットセンター(ザ・シンフォニーホール内) 06-6453-6000
チケットぴあ 0570-02-9999【Pコード:204-021】
ローソンチケット 0570-000-407【Lコード:53385】