「大阪クラシック~街にあふれる音楽」は先週13日、大盛況のうちに閉幕。
お天気に恵まれた今年の「大阪クラシック」は、1週間で81公演、御堂筋~中之島エリアを中心に、クラシック音楽が鳴り響きました。
入場者数は48,750人。
昨年のように5万人超えとはいきませんでしたが、昨年が100公演、今年が81公演だった事を考えると、1公演あたりの入場者は増えており、大成功でした。
ご来場頂きました皆さま、ご声援いただきましたすべての皆さまに感謝申し上げます。
少々時間が経ってしまいましたが、熱く、長かった最終日の模様をリポートいたしましょう。
第69公演(11:00 大阪市役所正面玄関ホール)
パーカッション久保田善則、中村拓美、堀内吉昌、茶屋克彦、堀内聖子
(C)飯島隆
この公演は、子ども連れ優先入場公演です。
小学生以下のお子様をお連れの方は、一般の方に先駆けてご入場頂きました。
なので、前の方は子ども連れでいっぱい。
そこに、大植プロデュ―サーが登場です。
「大阪クラシックも最終日になりました! 最後までよろしくお願いします。」

(C)飯島隆
本日最初の公演は、たくさんの子どもたちに囲まれて、パーカッションアンサンブル。
太鼓の連打、リズムやアクセントの移動や掛け合いで、迫力いっぱいに聴かせる、C.ハーディ/赤の大地。

(C)飯島隆
理屈抜き、身体で感じる原始的な太鼓のリズムに、子ども達も興味津々。
今年のTシャツで登場のパーカッションアンサンブル、この後も色々なパターンの楽器構成で子どもたちだけでなく、ご来場頂いた皆さまを虜にしていました。
第70公演(11:30 大阪富国生命ビル地下2階フコク生命の森
ワーグナーチューバ高橋将純、ヴァイオリン黒瀬奈々子、石塚海斗、ヴィオラ岩井英樹、チェロ石田聖子
(C)飯島隆
ホルントップ奏者高橋将純を、この機会にぜひ覚えて下さい。
入団は今年1月と、まだまだ新人ですが、コンサートのメインの曲でホルンの1番を吹くのは、決まって高橋。
先の定期でブルックナー交響曲第4番「ロマンティック」やショスタコーヴィチ交響曲第4番、などといった大曲はもちろん、この日の最終公演最後の曲、ストラヴィンスキー「火の鳥」の“終曲”でドラマチックなソロを吹くのも、高橋です。

(C)飯島隆
この公演で高橋将純は、普通のホルンは吹かず、ただ今演奏中のナチュラルホルンや、後ろに立ててあるワーグナーチューバを吹いていました。
人懐っこい笑顔とお茶目なMCもお客さまに受けて、なかなかの人気です。
お馴染みのメンバーと共に奏でる名曲の数々。
満員のお客さまには、きっと気に入っていただけた筈です。
第71公演(12:00 大阪市中央公会堂 大集会室)
【有料公演】全席指定2000円
指揮:ボブ佐久間 吹奏楽:大阪市音楽団 
(C)飯島隆
ボブ佐久間指揮、大阪市音楽団も、中央公会堂 大集会室で公演です。
曲がたまりませんね。
風と共に去りぬ“タラのテーマ”~エデンの東~ライムライト~野生のエルザ~ロッキーのテーマ。

(C)飯島隆
そして、
ゴッドファザー“愛のテーマ”~タイタニック“マイ・ハート・ウィル・ゴーン”~慕情~カサブランカ“時の過ぎゆくままに”~ロミオとジュリエット“愛のテーマ”~男はつらいよ~愛と悲しみの果て“アウト・オブ・アフリカ”。
この選曲、素晴らしいですね。 今までにない贅沢なコンサート。
吹奏楽の魅力を堪能頂けたことと思います。
第72公演(12:30 日本生命本店新南館1階ロビー)
ヴァイオリン鈴木玲子、ヴィオラ上野博孝、コントラバス松村洋介
(C)飯島隆
日本生命本店新南館1階ロビーにもたくさんのお客さまが。

(C)飯島隆
ヴァイオリン鈴木玲子、ヴィオラ上野博孝、コントラバス松村洋介のトリオも、「大阪クラッシック」ではおなじみですね。
昨年は関電ビルディングでハイドンのトリオを演奏してくれました。
今年は、バッハのインベンションが鳴り響きました。
第73公演(13:00 中之島ダイビル)
ヴァイオリン田中美奈、三瀬麻起子、チェロ近藤浩志、コントラバス新眞二
大阪フィルの弦楽器の主要メンバーで結成されたこのユニットも「大阪クラシック」ではすっかりおなじみ。
そんな名物ユニットに、大植プロデューサーが登場です。
そしてここでも出ました、チェロ近藤浩志に対するライバル発言。
「チケットの販売で、近藤さんにいつも負ける!」というハナシ。
もうほとんどネタですね(笑)。

演奏で魅せて、近藤浩志と新眞二のボソボソトークで笑わせます。
この編成と言えば、ロッシーニの「弦楽のためのソナタ」。
今年は2番と4番を演奏してくれました。

中之島ダイビルには、ご覧のようなたくさんのお客様がお越しです。
本当に絵になる会場ですね。 この日1日で3公演使わせていただきました。
それぞれに、たくさんのご来場ありがとうございました。
第74公演(14:00 大阪市役所正面玄関ホール)
フルート井上登紀、ヴァイオリン高木美恵子、ピアノ佐竹裕介
(C)飯島隆
市役所正面玄関ホールにも、大植プロデューサーが登場。
しかも、法被姿です。
法被姿と言えば・・・最終公演のアンコール!と相場は決まっていますが・・・

(C)飯島隆
メンバーを紹介して、フルート、ヴァイオリン、ピアノによる演奏は始まりましたが、
その後もお客さまは続々とお見えになり、ホールには入りきりません。

じっと袖で演奏を聴いていた大植プロデューサーは、曲が終わり、次の曲の紹介が始まるのを確認し、再びステージに登場し、フルートの井上登紀と何やら相談。
そして、
「皆さん、もっと前に来てください。 奏者を取り巻くように、ずっと前までどうぞ!」と、
お客様を誘導し、客席のレイアウトを変えてしまいました。

上の写真と見比べていただくと良く判ります。
おかげでスペースが出来、外で聴かれていた方にお入り頂けました。
これが出来るのは大植プロデュ。ーサーだけ。 さすがです。
アンコールのカッチーニの「アヴェ・マリア」を、たくさんの皆さまにお聴きいただけて良かったです
第75公演(15:00 大阪市中央公会堂 中集会室)
【有料公演】全席自由1000円
ヴァイオリン田野倉雅秋、渡辺美穂
(C)飯島隆
首席コンサートマスター田野倉雅秋とコンサートマスター渡辺美穂のデュオ。
今年の「大阪クラシック」、話題の公演のひとつ、有料公演です。
当日券がたくさん出て、ほぼ完売状態でした。
にこやかな二人の表情も、演奏が始まると一変。

(C)飯島隆
それもそのはず、この日演奏したイザイの「二本のヴァイオリンのためのソナタ」は、とんでもなく難しいそうです。
「皆さま、この曲をご存知ですか? やはり殆どの方がご存知無いようですね。 そこの方、ご存知ですか。 えっ、もしかして今、楽譜をお持ちですか! 良く手に入りましたね。 うーん、これは遣り難いですね(笑)。」と、田野倉。
「私も色々な曲をデュオで演奏しますが、ちょっとこの曲は次元が違います。 それほど難しい。 しかし楽譜をお持ちの方
がおられるようで、マズイ事になりました(笑)。」と、渡辺。
お客さまを笑わせながらも、そこは両コンマス。
見事な演奏で、お客さまからは温かく盛大な拍手が起こっていました。
第76公演(15:30 中之島ダイビル)
ホルン藤原雄一、ヴァイオリン力武千幸、三瀬麻起子、ヴィオラ上野博孝、川元靖子、チェロ近藤浩志
この日2回目の中之島ダイビル公演。
チェロ近藤浩志の軽妙なトークは大受けです。
「このグループには共通点があります。 それは、メンバー全員誕生日が21日ということです!」
いろいろなグループ結成のハナシを紹介して来ましたが、全員21日生まれって、そんな事有るのですね。

21日生まれのグループ、まずはモーツァルトの弦楽五重奏曲を演奏。

そして、ホルンの藤原雄一が登場し(もちろん21日生まれ)、ケルビーニのホルンソナタが演奏されました。
柔らかな弦楽四重奏をバックに、ふくよかなホルンの響きが中之島ダイビル中に鳴り渡りました。
第77公演(15:45 大阪市役所正面玄関前)
大阪市音楽団公演
トランペット中嶋尚也、林辰則、ホルン伊藤数仁、トロンボーン戸井田晃和、テューバ北畠真司
(C)飯島隆
この会場で演奏するのは初めてだと思います。
大阪市役所の正面玄関前です。
本当にたくさんの方にお集まりいただきました。

(C)飯島隆
先ほどは大編成で聴かせて頂いた大阪市音楽団の皆さんが、金管五重奏で登場。
開演を告げるクラークのトランペットヴォランタリーで始まったプログラムは、
「となりのトトロ」より“さんぽ”や宇宙戦艦ヤマトなどを演奏。
天気が良ければぜひとも使わせていただきたい会場ですね。
大阪市役所正面玄関前、「大阪クラシック」を象徴する会場だと思います。
第78公演(16:00 京阪電車なにわ橋駅アートエリアB1)
ヴァイオリン小林亜希子、石塚海斗、チェロ石田聖子、コントラバス松村洋介
(C)飯島隆
第73公演と同じ楽器編成で、昨年に続きロッシーニ対決になりました。

(C)飯島隆
ヴァイオリン2本とチェロ、コントラバス。
ヴィオラの替わりにコントラバスを使用する珍しい楽器編成で、ロッシーニの「弦楽ソナタ」はこの編成で書かれています。
こんな珍しい楽器編成のユニットを、1日2つも聴き比べ出来るのは「大阪クラシック」だけです。
会場の京阪電車なにわ橋駅アートエリアには、今年もたくさんの方にお集まりいただきました。
電車の駅にアートエリアがあるのも素敵ですね。
これからも色々なアートをこの駅から発信して行ってください。
第79公演(17:30 大阪市役所正面玄関ホール)
フルート野津臣貴博
(C)飯島隆
今年もやって来ました、フルート野津臣貴博のソロ公演。
もうすっかり定着しましたね。

(C)飯島隆
フルートで奏でるバッハの無伴奏チェロ組曲も、一昨年は2番、昨年は4番と来て、今年は5番。
演奏の合間には、独特の間で語り、それが演奏と妙にしっくり来るのです。
市役所の正面玄関ホールは、お客さまで溢れ、入れなかった方も随分いらっしゃったようです。
来年はいよいよバッハの無伴奏も6番を迎えるのでしょうか。 楽しみですね。
第80公演(18:30 中之島ダイビル)
関西フィルハーモニー管弦楽団公演
トランペット白水大介、西谷良彦、ホルン中川直子、トロンボーン風早宏隆。松田洋介
(C)飯島隆
1週間に渡る「大阪クラシック」も、この公演と最終の有料公演を残すのみとなりました。
最終公演は、チケット発売の日に完売していますので、チケットをお持ちでない皆さまにとっての最終公演はこの公演となります。
第80公演は、関西フィルのメンバーによる金管五重奏です。

(C)飯島隆
ヴェルディの歌劇「アイーダ」より“凱旋行進曲”で華やかに開演したこの公演は、金管楽器の魅力が堪能できるご機嫌なプログラム。
本編最後は、ディジー・ガレスピーの「チュニジアの夜」!
「大阪クラシック」のトリ前公演を、盛大に盛り上げて頂きました。
第81公演(19:15 大阪市中央公会堂 大集会室)
指揮:大植英次 独唱:福原寿美枝 管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団最終第81公演のチケットは、発売と同時に完売。 プラチナチケットです。

(C)飯島隆
開演の15分前、ステージ上で、大植プロデューサーのプレトークが始まりました。
「大阪クラシック」が9回目、そして自身の監督在任期間が9年。
そして、9と言えば・・・‘ベートーヴェン「第9の」呪い’のハナシ。
それらのハナシを関連付けて、今回のプログラムの説明をする大植プロデューサー。
いやがうえにも、期待感は高まっていきます。

(C)飯島隆
監督在任9年を、9曲で振り返る今年の最終公演のプログラム。
最初は、2003年監督就任の思い出の曲、マーラー交響曲第2番「復活」より第4楽章。

(C)飯島隆
最終公演のオーケストラはステージ上に乗らないので、客席数を減らしてステージ下にセット。
福原寿美枝さんはステージから登場。

(C)飯島隆
「復活」第4楽章は、『子供の不思議な角笛』の第7曲「原光」。
日本を代表する福原さんのアルトの歌声が、ホール内の雰囲気を一変。
束の間、お祭りムードが、厳粛なコンサートの雰囲気に変わりました。

(C)飯島隆
盛りだくさんのコンサートです。
バーンスタインのセレナードより第3楽章では、首席コンマス田野倉雅秋がヴァイオリンソロを披露。

(C)飯島隆
その後、チャイコフスキー交響曲第5番より第3楽章、ベルリオーズの幻想交響曲より第4楽章と、大曲が続きます。

(C)飯島隆
曲間には、面白おかしく曲の紹介をする大植マエストロ。

(C)飯島隆
しかし曲が始まると、この表情。

(C)飯島隆
エルガーの変奏曲「エニグマ」より“ニムロッド”、バーンスタインの組曲「キャンディード」より“メイク・アワ・ガーデン・グロウ”では、感動のあまりお客さまを泣かせ・・・
数ある9番の交響曲の中から、軽妙洒脱なショスタコーヴィチの9番第1楽章で、お客さまを煙に巻くような場面が有ったり、思いのままの大植ワールドが展開されていました。

(C)飯島隆
本編最後の曲ストラヴィンスキー「火の鳥」より“終曲”を演奏し終えた大植マエストロと大阪フィルは、

(C)飯島隆
満員のお客さまに、改めてご挨拶を致しました。

(C)飯島隆
そして、アンコールが始まりました。
打楽器奏者・久保田善則が叩く拍子木、曲はもちろん「八木節」です。

(C)飯島隆
大植マエストロはいつものように法被姿に着替えて、指揮をしますが、

やがて、指揮台を降りて会場中を走り回ってお客さまと握手。
お客さまは皆さん立って拍手をされています。

(C)飯島隆
「八木節」最後の音が鳴った瞬間・・・
奏者の弓は跳ね上がり、マエストロのポーズは見事に決まっていました。

(C)飯島隆
鳴り止まない拍手喝采に「来年もお会いしましょう!」と応えるマエストロ。
マエストロは、「あと50年は大阪クラシックのプロデューサーを務める!」と宣言されていました。

楽屋に戻った大植マエストロの元を福原寿美枝さんが訪ねました。
福原さんはマーラー「復活」を歌った後、1時間以上も本番衣装のままで待っておられました。
「大植さん、大ファンなんです。 ご一緒出来て光栄です!」
という事で、2ショットですが・・・クールな印象の福原さん、ちょっと意外でした(笑)。
撮影を終えて、
「大植さんて感性の人だと思います。私自身、理論ではなく気持ち先行なので、大植さんとは合うだろうなとずっと思っていました。 ご一緒出来て良かったです。 写真くださいね! ブログ?どうぞどうぞ、載せてください!」
そんな福原寿美枝さんとのやり取りを以て、最終公演はすべて終了しました。

終演後、中央公会堂のロビーでは、最後のスタッフミーティングが行われていました。
「皆さま、お疲れさまでした。 皆さまのおかげで、事故なく無事に終わりました。 最終入場者数は48,750人です!」
一同、拍手!
さあ、撤収して、打ち上げ会場に向かいましょう。

打ち上げ会場では、大植プロデューサーから簡単な挨拶の後、

「乾杯!」 の発声を受けて、周囲のみんなと乾杯をし、
奏者もスタッフも、思い思いに「大阪クラシック」を打ち上げていました。
今年の「大阪クラシック」はこれにて終了でございます。
雨の日が多く、‘夏らしい夏’がなかった印象の今年の夏ですが・・・
そこは大植プロデューサー、‘晴れ男’の面目躍如、期間中は見事なお天気でした!
先ほども申し上げた通り、大植プロデューサーは、
「後50年は大阪クラシックのプロデューサーを続ける」と話されています(笑)。
来年はいよいよ節目の10回目!
来年も「大阪クラシック」はきっと行われるはず!
引き続きよろしくお願い申し上げます。

「大阪クラシック」は終わりましたが、‘大植祭り’は終わりません!
大植英次プロデューサーが、桂冠指揮者・大植英次マエストロに戻りお届けする「第481回定期演奏会」は、今月25日(木)、26日(金)、フェスティバルホールで開催します。
曲は、マーラー交響曲第6番「悲劇的」。
休憩なし、堂々の1曲プログラムです。
「大阪クラシック」ファンの皆さま、大植英次マエストロに会いに、フェスティバルホールにお越し下さい。
(広報:H.I)
「第481回定期演奏会」
日 時:9月25日(木)、26日(金)19時開演(18時開場)
会 場:フェスティバルホール
指 揮:大植英次
曲 目:マーラー/交響曲 第6番 イ短調 「悲劇的」
料 金:A席:6,000円、B席:5,000円、C席:4,000円
学生席(3階席):1,000円、BOX席:7,000円
※未就学のお子さまのご入場はお断りさせていただきます。
[学生席について]
・2014年度より3階を学生席(25歳以下)として前売り販売いたします。
・ご予約は、一般発売日より大阪フィル公式HPでお申込みください(インターネット販売のみ)。
引換券を発行いたします。
・当日、窓口にて学生証を提示の上、引換券を座席券に交換してください。
・整理券の番号順に良い座席をご用意させていただきます。
・尚、ご入場後も係員がお座席にて学生証の提示をお願いする場合がございます。
・チケット販売所
大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890
フェスティバルホール チケットセンター 06-6231-2221
チケットぴあ 0570-02-9999【Pコード:218-941】
・お問合せ
大阪フィル・チケットセンター 06-6656-4890